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HIROSHIMA GOOD THINGS/無水鍋®の㈱HALムスイ(1)〜時代を見据える先見性

暮らしのヒント
2019.03.29

今月から新しく始まった、HIROSHIMA GOOD THINGSにご賛同いただいている企業様の姿勢歴史商品についてご紹介していくシリーズ。
記念すべき第一回目は、株式会社HALムスイ様のお話を伺ってまいりました。
全国で知られるロングセラー商品「無水鍋®」の販売会社の本社が広島の安佐南区長束にあることを、皆さまご存知でしたか?

母体である広島アルミニウム工業㈱、卸業を手掛ける㈱田島商店、無水鍋を取り扱う㈱HALムスイの名前が掲げられた㈱HALムスイの本社(広島市安佐南区長束)

お忙しい中、お話を聞かせてくださったのは、営業統括本部 本部長の山元様(左)と営業第一課課長の澤本様です。

そのルーツは、1921(大正10)年創業の田島倉造商店に遡ります。
まだ見つかって時代の浅い〝アルミニウム〟という新しい素材に着目し、当時は鉄製が主流だった羽釜アルミの鋳造により製造。 軽くて火がよく通るその羽釜は、当時の台所の熱源だったかまどと相性が良く「ミササ印の羽釜」と呼ばれ、 人気商品に。
しかしその後の戦争、そして原爆により、 工場も広島の街とともに廃墟と化してしまいました。

終戦の翌年、戦地から復員した創業者の田島忠雄氏は、1947年に広島アルミニウム工業(有)を設立。職人たちと共に工場を再建し、羽釜の生産も再開しました。
しかしガスの普及により、台所の熱源はかまどからガスコンロへの移行期へ。
丸い底にまんべんなく火が当たるかまどと異なり、底にしか火が当たらないガスコンロ。しかも当時は火力も限られていたガスでも、しっかりと中まで温度を上げ、羽釜と同じくらい美味しいご飯が炊けるようにと、試行錯誤を繰り返し、ついに1953年に「キング印 無水栄養ナベ」が誕生したのです。

ドラマ「下町ロケット」のロケセットにも使われた初期の無水鍋

当時の鍋の実物を見せていただいて、お話を聞いて、本当に驚いたことがいくつもあります。
1つ目に、現在の「無水鍋®」とほぼ形状が変わらないこと。60年以上前の誕生当初から、完成されたデザインだったと言えます。プロダクトデザインとしては本当にすごいことです。
2つ目に、軽いこと。女性でも軽くて扱いやすいことは、台所生活用品としての条件の一つ。中までしっかりと火を通すために必要な厚みを、アルミという素材の軽い特製でカバーする、得意分野を遺憾なく発揮できた商品と言えそうです。
3つ目に、美味しいごはんを炊くために、熱伝導率の高さを追求したことから生まれたのが、「無水調理」という全く新しい調理技術の開発につながったこと。現在再び注目されている「無水調理」をいち早く生み出したのが、この「無水鍋®」だったのです。
4つ目に、1963年にはこの「無水鍋®」という名称を商標登録したこと。現在も「無水」をうたう調理方法や調理器具は多々ありますが、「無水鍋®」と名乗ることができるのは、㈱HALムスイ様の鍋だけということになります。

また、この鍋を生産する技術が当時の東洋工業(現マツダ)様に認められ、自動車部品を作るきっかけとなり、自動車部品は広島アルミニウム工業㈱の主力商品として、今も国内9拠点、海外4拠点で高い技術力を活かした生産を続けています。
*  *  *
アルミという新素材に着目してから、ガスという新しい熱源への対応、おいしいごはんを炊き上げる品質へのこだわり、秀逸なデザインネーミング…。
時代のニーズを見据える先見性と、高い技術力による妥協のない開発姿勢が、今も通用する商品や、新しい主力分野を生み出したことが感じられました。
しかし、当時一般的なサラリーマンの初任給の1/3という高価な鍋がどのようにして受け入れられたのか、さらに時代はアルミ鍋が不得意とするIHクッキングヒーターの誕生へ…。そこからの新たな挑戦は、来月引き続きご紹介していきますのでお楽しみに…。
また、㈱HALムスイ様の「無水鍋®」のラインナップは、下記[ TO ] Life Storeでも販売しておりますので、ぜひ実物をお手に取ってご覧ください。


株式会社 HALムスイ
広島市安佐南区長束三丁目44-17-8
TEL (082)239-1200
http://www.musui.co.jp/
無水鍋®」を使ったお料理のレシピも多数掲載!
HIROSHIMA GOOD THINGS ホームページ
https://www.totate.co.jp/h-goodthings/
[ TO ] Life Store
そごう広島店 新館 5階
広島市中区基町6-27
10:00〜20:00

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