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シニアリフォームは間取りが大事!老後や介護を見据えた家づくりのポイントを解説
「シニアリフォームの間取りで注意すべきポイントとは?」
「介護を見据えた間取りが重要って本当?」
と疑問を持っている人はいませんか。
60代からのシニアリフォームでは、老後や介護を見据えた家づくりが重要です。
2階建てと平屋で注意すべきポイントが異なるなど、シニアリフォームについて理解することで、より快適な家づくりを実現できます。
今回の記事では、
- シニアリフォームで優先すべき箇所
- シニアリフォームをより充実させるためのポイント
- シニアリフォームにかかる費用相場・助成金
- おすすめの間取り
- 成功事例
を解説します。
健康寿命を伸ばす2つのシニアリフォーム
リフォームの工夫次第では、健康寿命(介護・医療に頼らずに自立した生活を送れる生存期間)を伸ばすことが可能です。
以下で、健康寿命を伸ばせる2種類のシニアリフォームを紹介します。
自宅での事故を防ぐリフォーム
シニア世代リフォームのキーワードは、まず「安心」・「安全」です。
「安心」・「安全」を守るためには、自宅での事故を防ぐための工夫が求められます。
怪我などをともなう事故のうち、70%は自宅で発生しているという統計があります。
最も長い時間を過ごす自宅では、それだけ事故のリスクも高まると言えるでしょう。
人生100 年時代と言われる昨今。
仮に30歳で家を購入し、60歳でリフォームし、90歳まで生きた場合、30〜60歳までの年数と同じ30年間を、リフォーム後の自宅で過ごすことになります。
リフォームで文字通り“転ばぬ先の杖”を備えておくことは、健康で余生を楽しむ健康寿命を延ばすことにもつながります。
- バリアフリー(段差をなくして転倒事故を防止)
- 断熱(ヒートショックの予防)
- 手摺(手すり)の設置
- 滑りにくい床材の採用(居室のフローリングや浴室の床など)
先のお客様の事例では、玄関の収納が不足していて、廊下に物を置いている状況でした。
廊下などに物があると、夜中に引っ掛かって転倒する原因にもなります。
そこで洋室の一部を土間にしてシューズクロークを設置して玄関周りの収納を集約。
玄関はすっきりとさせて、ベンチと手摺を設置しました。
暮らしを楽しむリフォーム
シニアリフォームで重要なキーワードのもう一つが「快適」・「趣味」です。
趣味に興じることで、身体を動かしたり、頭を使ったりするため、結果的に健康維持に繋がります。
読書や絵画、手芸、ガーデニング、友達とのお茶会、映画鑑賞、料理など、自宅で楽しめる趣味は幅広いです。
シニアリフォームの工夫次第では、こういった趣味の楽しさ、趣味に使える時間を倍増させることができます。
例えば、ガーデニングが趣味の場合、さまざまな種類の植物を育てられる十分なスペースを庭に設けることで、ガーデニングをより楽しめます。
毎日が楽しくなることで、暮らしに張りが出て、心が元気になります。
先の事例では使いにくかった洗面室を整理して、キッチンにつながる動線を追加。
広過ぎて掃除が大変だったという浴室はサイズダウンしてお手入れが簡単な最新のシステムバスに。
洗濯を干す動線が楽になり、掃除の負担が軽くなったことで生まれたゆとりを、好きなことを楽しむ時間に充てることができます。
またご主人は趣味の読書を楽しむ書斎を、奥様とも空間を共有できるLDKに設置しました。
シニアリフォームで優先すべき箇所
シニアリフォームでは、特にリフォームを優先すべき箇所がいくつかあります。
以下で、優先すべき箇所とその理由を確認していきましょう。
玄関
シニアリフォームでは「玄関」の設計に注意しましょう。
玄関は、靴を履くために座ったり立ったりする場所なので、安全性が求められるためです。
例えば、敷居や玄関のアプローチなどに段差があると、出入りする際に転倒しやすくなります。
こういった段差をなくしてスロープにすることで、安全性が高まります。
さらに、将来的に車椅子を使用する場合、間口が狭いと不便なので十分なスペースを確保しておくと良いでしょう。
トイレ
毎日必ず使用する「トイレ」も、シニアリフォームで注意したいポイントです。
トイレのスペースは限られており、立ち座りの動作がしにくく、転倒してしまうケースがあります。
例えば、トイレ内に手すりを設けることで、立ち座りの負担を軽減することが可能です。
また、必要に応じて便座が上下するトイレリフトや補高便座などがあるという事を知っておくと良いでしょう。
さらに、ドアは引き戸にすることで、力を入れずにドアを開閉できるでしょう。
トイレは毎日使用する場所なので、「どこからリフォームすべきかわからない」という人は、トイレからリフォームを始めましょう。
キッチン
料理が趣味という人の中には、特に「キッチン」のリフォームに力を入れたいという人も少なくありません。
料理は立ち仕事が基本で、身体に負担がかかりやすいため、座りながら料理できるリフォームを実施すると良いでしょう。
キッチンの棚は低く設置することで、身体への負担を軽減できます。
さらに、火の不始末による火事を防止するために、ガスコンロからIHに替えるリフォームもおすすめです。
廊下・階段
部屋を移動する際に使用する「廊下・階段」は、シニアリフォームの中でも優先度の高いリフォーム箇所です。
ちょっとした段差によって、転倒する可能性が一気に高まります。
廊下は夜になると足元が見えにくくなるため、フットライトをつけると良いでしょう。
さらに、つかまりながら歩けるように、手すりの取り付けをおすすめします。
車椅子を使用する場合、廊下の幅は「85〜90センチメートル」程度確保するようにしてください。
大きな段差がある階段は、高齢者の方が転倒しやすい場所です。
手すりや滑り止めを取り付けて、転倒するリスクを低くしましょう。
浴室・脱衣所
シニアリフォームで優先すべき箇所として、「浴室・脱衣所」も挙げられます。
浴室・脱衣所などの水回りは、濡れていると足を滑らせやすく、転倒事故に繋がります。
例えば、タイル張りの浴室は滑りやすいため、滑りにくい素材を選びましょう。
さらに、シニアリフォームで取り入れたいのが「ヒートショック対策」です。
温度に差がある部屋を移動する際に血圧が大きく変化し、心筋梗塞や不整脈などの症状を引き起こすことがあります。
ヒートショックは高齢者に起こりやすいと言われているため、暖房器具を設置することをおすすめします。
寝室
毎日使用する「寝室」も、シニアリフォームで優先すべき箇所の一つです。
将来介護が必要になったときに、寝室で長い時間を過ごすことになります。
2階建て以上の場合、移動する・させるのが大変なので、1階に寝室を設けると良いでしょう。
ベッド周りは立ち座りできるように手すりを設置し、開け閉めしやすい引き戸タイプの扉を採用することをおすすめします。
さらに、緊急時にすぐに対応できるように、安全通報装置や火災報知機を設置することも重要です。
リビングなどの生活スペース
リビングなどの「生活スペース」も、長い時間を過ごすことが多いため、シニアリフォームを行うと良いでしょう。
例えば、リビングとトイレ、寝室などの距離を短くすることで、移動時の負担を軽減することが可能です。
さらに、和室と洋室の段差をなくすことで、部屋を移動する際に転倒リスクを減らすことができるでしょう。
リフォームを最低限に抑えたい場合は?
コストの関係で、リフォームにかかる費用を最小限に抑えたいという人は、優先度の高い場所からリフォームすると良いでしょう。
例えば、トイレや階段は転倒のリスクが大きい場所であるため、優先度は高いです。
トイレや階段以外に予算に余裕がある場合は、浴室や玄関のリフォームを行いましょう。
ただ、生活スタイルや身体の状態によっても優先すべき場所が異なるので、リフォーム業者と相談しながら、リフォームの計画を立てましょう。
シニアリフォームをより充実させるためのポイント
シニアリフォームをより充実させるには、「断捨離」をキーワードにすると良いでしょう。
以下で、充実させるためのポイントを詳しく解説します。
持ち物の断捨離
一つは、持ち物の断捨離です。
大規模リフォームなどで、一時的に仮住まいすることが必要になった場合、荷物が多いと引越し費用も高くなり、レンタル倉庫代なども余分にかかります。
そうした理由から、リフォームは思い切った持ち物の断捨離の良いきっかけになります。
具体的には以下のようなものです。
- 子どもさんの学習机や持ち物
- 衣類(古い家の場合、お母様・お祖母様の着物なども)
- 食器(古い家の場合、客用に多く揃えた湯呑やコップも)
- 客用寝具(最近はお客様を泊めることが少ないため)
- 婚礼タンス(クローゼット収納を充実させた方が省スペースで使いやすくなるため)
- ダイニングセットやソファ(ダイニングソファやカウンターの活用でLDを広く)
間取りの断捨離
もう一つは、間取りの断捨離です。
多くの方が“子育てに向けて”住まいを建てたり、購入したりされます。
その後、子どもさんたちが巣立たれると、間取りにも無駄が増えてきます。
具体的には以下のようなものです。
- 和室(客間や子どもを昼寝させる部屋→LDKを広く)
- 子ども部屋(→ご夫婦それぞれの部屋や、収納に活用)
実際に私が手掛けた施主様のマンションリフォームの事例では、LDに隣接していた和室をなくし、対面に変えたキッチンにダイニングカウンターを造作して、広々としたリビングを実現されました。(❶)
また不要になった子ども部屋を大容量のファミリークロークに変え、収納を充実させました。(❷)
シニアリフォームにかかる費用相場
シニアリフォームには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
一般的なシニアリフォームにかかる費用は、一戸建ての場合で「200〜300万円」が相場と言われています。
マンションの場合は「900〜1200万円」が相場となっており、一戸建てよりも費用が高い傾向にあります。
以下、シニアリフォームの場所別にかかるリフォーム費用をまとめました。
リフォームの内容 | 費用 |
---|---|
手すりの設置 | 約3万円~20万円 |
床段差の解消 | 約2万円~3万円 |
出入口を引き戸に交換 | 約5万円~6万円 |
浴室換気暖房乾燥機の設置 | 約7万円~15万円 |
シニアリフォームに利用できる助成金
シニアリフォームでは、助成金の一つ「高齢者住宅改修費用助成制度」を利用できるケースがあります。
高齢者住宅改修費用助成制度とは、介護保険制度に含まれる補助金制度です。
自治体による補助金制度で、リフォーム工事費用の9割が支援されます。
対象者
高齢者住宅改修費用助成制度の対象者は「要介護および要支援の認定を受けている人」です。
同制度が「介護保険制度」という位置付けであるため、対象者が要介護・要支援を受けている人に限定されます。
高齢者住宅改修費用助成制度の利用を検討している人は、要介護・要支援の認定手続きを済ませておくと良いでしょう。
対象となるリフォーム
高齢者住宅改修費用助成制度の対象となるリフォームは以下の通りです。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 床材の変更
- 扉の変更
- 便器の取り替え
基本的には、バリアフリーを目的としたリフォーム工事が対象となります。
ちなみに、対象となる住宅は被保険者が現在住んでいる住宅です。
家族の住居をリフォームした場合、高齢者住宅改修費用助成制度は適用されないので注意してください。
支給限度額
高齢者住宅改修費用助成制度の支給限度額は「20万円」です。
工事費用の最大9割が支給されます。
申請の流れは以下の通りです。
- 要介護認定の申請を行う
- リフォーム業者の選定(ケアマネージャーに相談)
- 見積書の確認
- リフォーム業者と契約
- 自治体に事前申請書類提出
- 工事費用の支払い
- 工事完了後に申請
- 補助金の受け取り
60代・老後のリフォームでは、意識すべきポイントがいくつかあります。
以下で、シニアリフォームにおすすめの間取りを紹介します。
2階建ての場合
2階建ての場合、まず「安全な階段」にリフォームすることが重要です。
階段は転倒事故が起こりやすい場所であるため、転倒リスクを減らすためにもバリアフリー設計にしましょう。
移動時につかまれる手すりをつけると安心です。
1階〜2階の移動をなくすためにも、リビングの隣に居室を設けると良いでしょう。
居室があれば将来的に寝室を1階に移すことができます。
リビングと寝室が近ければ、移動の手間を減らせるだけでなく、ご家族の方ともコミュニケーションを取りやすいです。
さらに、トイレの回数が増えることが多いため、リビングから移動しやすい位置にトイレを設置することをおすすめします。
平屋の場合
平屋の場合は、階段の心配をする必要はありませんが、注意すべきポイントがいくつか存在します。
1LDKと2LDK、おすすめの間取りをそれぞれ確認していきましょう。
1LDK
1LDK(1つの部屋+リビング+ダイニング+キッチン)は、一人暮らし、もしくは二人暮らしの方に向いています。
1LDKは比較的シンプルな設計なので、リビングを起点に寝室や浴室に移動できるような設計にすることが多いです。
移動の際に負担がかからないように「段差を解消」することをおすすめします。
さらに、ヒートショックを防止するためにも、浴室は暖房設備を取り入れると良いでしょう。
将来的に介護ベッドを置く場合、「23坪以上」で間取りを取っておくと、快適に暮らすスペースを確保できます。
2LDK
2LDK(2つの部屋+リビング+ダイニング+キッチン)は、それぞれの自室を設けたい二人暮らしの方におすすめの間取りです。
例えば、それぞれに趣味がある場合や、1人の時間も大切にしたい場合などに、2LDKが向いていると言えるでしょう。
2LDKの平屋の場合、20坪以上のスペースを確保することで、快適に暮らすことができます。
リビングからそれぞれの寝室に移動しやすくしたり、生活の導線を考えてトイレやキッチンを設置したりすることが重要です。
シニアリフォームの成功事例4選
ここでは、シニアリフォームの成功事例を紹介します。
バリアフリーを考えたリフォーム
まず紹介するシニアリフォーム例は、セカンドライフを充実させるためにバリアフリー設計を重視した事例です。
将来的にも健康に生活できるように、内窓を設置することで、断熱性アップを実現。
手すりを設置したり、扉を引き戸に変更したりして、バリアフリー設計を取り入れました。
さらに、キッチンに十分なスペースを設けることで、作業しやすくしただけでなく、IHクッキングヒーターに交換することでお手入れしやすくしました。
階段の斜面を緩やかにリフォーム
続いて紹介するシニアリフォームの成功事例は、階段の斜面を緩やかにリフォームしたケースです。
傾斜が急な階段を問題視していたため、さまざまなパターンを試行錯誤しながら、最適な向きに階段を設置しました。
他にも、既存のソファやテーブルにマッチするように、モノトーン調のコーディネートを意識。
玄関も室内と合わせてモノトーンにすることで、統一感のある住まいを実現しました。
受け継いだ古民家を暮らしやすくリフォーム
続いて紹介するシニアリフォームの事例は、受け継いだ古民家を暮らしやすくリフォームしたケースです。
こだわり溢れる日本家屋でしたが、傷みが目立っていただけでなく、間取りが暮らしにくいものだったそうです。
そこで構造上動かせない柱などを考慮しながら、最適な間取りを実現。
調査の段階で綺麗な梁が使用されていることがわかり、天井を吹き抜けにすることで梁をあえて見えるように設計しました。
上りやすい階段にリフォーム
最後に紹介するシニアリフォームの事例は、上りやすい階段にリフォームしたケースです。
敷地内の納屋を活用することで、1階を集まりに使える和室、2階をワンフロアで暮らせる住まいにリフォームしました。
生活空間はコンパクトに暮らせるように、階段ホールをウォークインクローゼットとして活用するなどの工夫を取り入れています。
階段には手すりを設置し、上り下りしやすいように工夫しました。
老後リフォームで失敗しないためにきちんと考えよう
今回の記事では、
- シニアリフォームで優先すべき箇所
- シニアリフォームをより充実させるためのポイント
- シニアリフォームにかかる費用相場・助成金
- おすすめの間取り、成功事例
を解説しました。
老後の健康に重要なシニアリフォームで失敗しないためには、バリアフリーを取り入れた設計にすることが大切です。
トイレや階段など、優先すべき箇所を明確にした上で、コストとのバランスを見ながら暮らしやすい住まいづくりを目指しましょう。
トータテリフォームセンターは、バリアフリーに特化したシニアリフォームの提案を行っています。住まいづくりでお悩みの方は、ぜひ一度お問合せください。
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