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知っておきたい空き家の相続にまつわる固定資産税などのルールについて解説

暮らしのヒント
2022.05.18

近年では空き家増加とともに、放置や倒壊など様々な問題がクローズアップされてきました。そのような中、空き家問題を解決すべく、法制度や税金のルールなどが大きく変化しています。中には、近々空き家を相続する方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、気になる固定資産税など、空き家の相続にまつわる最新のルールについて解説します。

変化しつつある空き家にまつわる社会的な環境

はじめに、「空き家対策特別措置法」など、空き家にまつわる法令の変化などについてみていきましょう。

そもそも空き家とは?

「空き家対策特別措置法」、正確には「空家等対策の推進に関する特別措置法」第2条によると、「空き家等とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。」と定義されています。

空き家にまつわる法制度の変化とは

空き家の適正な管理や活用促進を目的に、2014年11月に通称「空き家対策特別措置法」が成立し、翌年2月26日から施行されました。この法律では、適切に管理されていない空き家を「特定空き家」に指定し、市町村が所有者に対し行政指導や50万円以下の罰金を科すなどの行政処分を行えます。

また、2021年4月に相続登記の義務化が決定され、2024年4月1日に施行されます。この法律では、相続から3年以内の相続登記の義務化や、相続登記を放置した場合の罰則が定められました。

相続した空き家につきまとうリスクとは

空き家にも固定資産税はかかることから、払い続けなければなりません。また、空き家の劣化の進行を抑えるために、定期的な換気や通水、および雑草や樹木の手入れが必要です。

不審者の侵入や放火といった防犯上のリスクも要注意です。空き家の状態にもよりますが、火災保険を引受けてもらえない、あるいは割高な一般物件扱いになるなどの制限もあります。

固定資産税など空き家に関するルールを解説

ここでは、相続税や固定資産税にまつわるルールと相続登記の義務化について説明します。

空き家は相続税が割高になる?

亡くなった人が住んでいた住まいや土地を相続する際に、一定の要件を満たす小規模な宅地については、小規模宅地等の特例を受けることができます。特例を受けることで、相続税を最大80%減額できるメリットの大きな制度です。

とはいえ、適用条件は非常に厳しく、亡くなった人が元々空き家として所有していた場合は適用されません。また、亡くなった人が住んでいた場合も、相続人により適用条件が大きく変わることから注意が必要です。

相続した空き家は固定資産税が割高になる?

住宅用地の固定資産税と都市計画税は、土地や家屋の評価額に特例率をかけて税額が減額されています。小規模住宅用地(200㎡以下の部分)の特例率は、固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1です。

空き家対策特別措置法に基づき「特定空き家」に指定され、かつ自治体による助言・指導に従わず勧告を受けた場合は、固定資産税と都市計画税の特例率の適用が除外されます。

また、空き家を壊して更地にした場合も、住宅用地の特例の対象から外れ、翌年から固定資産税と都市計画税が高くなります。

相続登記の義務化とは

2024年4月1日に施行される相続登記の義務化では、不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。相続登記を放置すると、10万円以下の罰則が科される可能性があります。

なお、登記名義がはるか昔に亡くなった祖父のままなど、法令の改正前の相続にも遡って適用されます。

売却それとも解体どちらがお得?

相続した空き家で生活する予定がない場合は、どうすればよいのでしょうか。空き家の売却や解体について、メリット・デメリットを整理しました。

空き家売却のメリット・デメリット

相続した空き家を売却するメリットは、固定資産税などの支払いや維持にまつわる負担がなくなることです。

買い手が見つからない場合は、更地にして売却する方法があります。更地にすることで買い手が見つかりやすくなるメリットがあるものの、解体・整地費用がかかることや、固定資産税などが高額になるデメリットに注意が必要です。

年々高騰している空き家解体費用

空き家の解体費用は、資源ごみの処分場不足などの要因により年々高騰しています。解体で発生する廃プラスチックや木材の処分能力が増えないかぎり、解体費用は増加する一方です。解体を決断するなら、なるべく早い方がよいでしょう。

「相続」が「争族」にならないために早めの整理が大切

遺産をめぐる相続人間のトラブルを避けるために、どのようなことができるのでしょうか。最後に、早めの遺産整理のメリットについてお話しします。

ご家族様が元気なうちに整理するメリット

不動産は分割が難しいことから、トラブルになりやすいといわれています。あらかじめ相続人を確定し、かつ分割方法を決めておくことで、後々の相続人間のトラブルの未然防止につながります。

また、相続人間で協議が難航し、家庭裁判所に持ち込まれている間も、固定資産税などの支払いが発生することや、劣化に伴う資産価値の低下などのリスクを抱えていることを意識しておく必要があります。

不動産はどうやって分ける?

相続人間における不動産の分割には、「代償分割」および「換価分割」という方法があります。

「代償分割」とは、不動産を相続した者が、他の相続人に代償金などを与えて精算する方法です。ただ、代償分割を行うには、相続する不動産の評価が必要になります。その評価額の正当性をめぐってトラブルに発展するケースもあります。

「換価分割」とは、いったん一人に相続して売却した後に、売却代金を相続割合に応じて分割する方法です。誤って低価格で売却した場合に、トラブルになる可能性があります。

今回お話しした法令等については、2022年4月末日時点の情報です。適用要件や税率など、今後変更になる場合があります。

相続や売却など空き家にまつわるご相談は、こちらの「トータテ 住まいの情報センター」へお気軽にご連絡ください。

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